「大原会長!何度も言いますけど、このチョコが『凛道蓮』なんすよ!?」
「この子がヤンキーのわけない!」
「うんうん。ヤンキーらしくないわ!」
「それでも本人なんすよ!こいつが、『龍星軍の4代目総長』なんー!」
チャーチャラチャラチャー♪
争う声が、携帯の着信で遮られる。
「お、誰のだ!?」
「あ、俺っすね。職場からだ・・・。」
「え?」
答えたのは瑞希お兄ちゃん。
職場と聞いて嫌な予感がした。
「もしもし、お疲れ様です。」
職場からの電話って、だいたいがシフトの交代と忙しいから来てくれというものだけど・・・
ハラハラしてるうちに電話が終わる。
「大原会長、すんません!これから仕事に行くことになったので、帰ります。」
(やっぱりそうか・・・!)
仕事だとわかってるけど~私とのLOVEタイムを邪魔しないでよ!
〔★瑞希は社会人だ★〕
「すぐ行くのか、サナちゃん?」
「はい、すんません。」
「仕事なんだから気にするな。チョコちゃんだけ置いてってくれればいいからよ!」
「会長さん!?」
「いや、一緒に帰ります。」
私と瑞希お兄ちゃんを引き裂こうとする言葉を、きっぱりと断ってくれる好きな人。
「なんでだ!?帰りは送って行くぜ!?」
「ダメです。保護者不在で置いて行けません。」
よかった!連れて帰ってもらえるんだ♪
「烈司が、仕事で近くに来てるんで連れて帰ってもらいます。」
「瑞希お兄ちゃんじゃないんですか!?」
〔★好きな人ではなかった★〕
納得いかなくて抗議する。
「なんで烈司さん!?瑞希お兄ちゃんじゃないんですか!?」
「家に寄ってから、職場に行く時間はねぇんだよ。」
「だったら、わしでもいいだろう?腹ペコで帰らせるのは可愛そうだ。サナちゃんの分の料理も、チョコちゃんに持って帰ってもらえばいい!」
「そうよ、サナちゃん。チョコちゃんもそれがいいわよね?お腹すいてるよね?」
「チョコちゃん、おじさん達とご飯食べたいよな?」
「え・・・」
瑞希お兄ちゃんがいないのに1人で食べろと?
どんな拷問?
〔★凛は不満そうだ★〕


