彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「大原会長!何度も言いますけど、このチョコが『凛道蓮』なんすよ!?」

「この子がヤンキーのわけない!」

「うんうん。ヤンキーらしくないわ!」

「それでも本人なんすよ!こいつが、『龍星軍の4代目総長』なんー!」



チャーチャラチャラチャー♪



争う声が、携帯の着信で遮られる。



「お、誰のだ!?」

「あ、俺っすね。職場からだ・・・。」

「え?」



答えたのは瑞希お兄ちゃん。

職場と聞いて嫌な予感がした。



「もしもし、お疲れ様です。」



職場からの電話って、だいたいがシフトの交代と忙しいから来てくれというものだけど・・・

ハラハラしてるうちに電話が終わる。



「大原会長、すんません!これから仕事に行くことになったので、帰ります。」



(やっぱりそうか・・・!)



仕事だとわかってるけど~私とのLOVEタイムを邪魔しないでよ!



〔★瑞希は社会人だ★〕



「すぐ行くのか、サナちゃん?」

「はい、すんません。」

「仕事なんだから気にするな。チョコちゃんだけ置いてってくれればいいからよ!」

「会長さん!?」

「いや、一緒に帰ります。」



私と瑞希お兄ちゃんを引き裂こうとする言葉を、きっぱりと断ってくれる好きな人。



「なんでだ!?帰りは送って行くぜ!?」

「ダメです。保護者不在で置いて行けません。」



よかった!連れて帰ってもらえるんだ♪



「烈司が、仕事で近くに来てるんで連れて帰ってもらいます。」

「瑞希お兄ちゃんじゃないんですか!?」



〔★好きな人ではなかった★〕



納得いかなくて抗議する。



「なんで烈司さん!?瑞希お兄ちゃんじゃないんですか!?」

「家に寄ってから、職場に行く時間はねぇんだよ。」

「だったら、わしでもいいだろう?腹ペコで帰らせるのは可愛そうだ。サナちゃんの分の料理も、チョコちゃんに持って帰ってもらえばいい!」

「そうよ、サナちゃん。チョコちゃんもそれがいいわよね?お腹すいてるよね?」

「チョコちゃん、おじさん達とご飯食べたいよな?」

「え・・・」



瑞希お兄ちゃんがいないのに1人で食べろと?

どんな拷問?



〔★凛は不満そうだ★〕