彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「会長の気持ちは嬉しいんすけど・・・何度も言うように、俺、『元・族の頭』です。だからできません。」

「ばか!裸族だか、マサイ族だか知らないが、もう更生してるだろう?立ち直った立場から、指導する方が説得力もある!今日みたいなことがあれば、俺らも、もしもの時に安心なんだ!」

「あの・・・パトロールなら、おまわりさんに頼んだらダメなんですか?」



瑞希お兄ちゃんが困ってたので、ダメもとで話題を変えてみたけど・・・



「あ?警察~?ダメダメ!民事不介入とかあるから役に立たたない!」



即・却下された。



〔★ダメなようだ★〕



返ってきた単語を思わず聞き返す。



「また民事不介入ですか?」

「そうだよ!近所の騒音問題やトラブル、身内のもめごとには口を出せない!なによりも、事件が起きてから出ないと警察は動かない。」

「ああ・・・そういえば、そうでしたね。」



いつぞやのストーカー事件を思い出してムカついた。



〔★わかりやすい事例だ★〕



「とりあえず、チョコちゃんにもパトロールの腕章を渡しとくな?」

「会長、俺の話聞いてましたか!?凛、受け取らなくていいぞ。」

「でも・・・」

「よしよし、つけたげような!?」

「って、勝手に触んな!」



素早い手つきで、私の腕に『見回り組』とプリントされた腕章をつける会長。



〔★ジジイは本気だ★〕



瑞希お兄ちゃんの制止を振り切り、私に同意を取らずに勝手をするご年配。



「お、似合う!完璧だ!いいか、チョコちゃん!これをつけてる時は、立派なパトロール隊員だ!暴れる時は忘れるなよ~」

「は、はあ・・・ありがとうございます。」

「お礼言ってんじゃねぇーぞ、凛!?会長、ホント、困るんで!」

「なに言ってんだ!チョコちゃんがこのままキレイに育った方が良いだろう!もう一人の弟みたいに、龍星軍のお跡継ぎになったらどうすんだよ!」

「だからそれがチョコだって!!」



(いつになったら解けるんだろう、その誤解・・・)



〔★別人説は強力だ★〕