私の問いかけに会長さんは言った。
「わははは!知ってるぞ、チョコちゃん!今はやりの、『マイルドヤンキー』なんだろう?」
「マ、マイルドヤンキー?」
(私が?)
〔☆良い子のためのワンポイント解説☆〕
マイルドヤンキー:見た目はヤンキーだけど、中身はすごく優しいイマドキっ子のことだよん♪
「チョコちゃんは、お兄ちゃんが怖いヤンキーだから、あこがれてヤンキーしてんだもんな~?よしよし!」
「いえ、あの・・・」
(そんな理由でこうなったんじゃなんだけど・・・)
〔★凛は過去を振り返っている★〕
「チョコちゃん、少年部においで!難しくないぞ!楽しいぞ~!?」
「凛まで巻き込まないでください、会長!」
「瑞希お兄ちゃん。」
「来い、凛!」
「わっ!?」
私の手を取ると、足早に洋食屋さんから出る瑞希お兄ちゃん。
「その帽子の金、奴らからの慰謝料ですから、遠慮なく受け取ってください。何か言って来たら、俺に行ってくれればいいっすから!」
「でも、けっこうあるよ?」
「いいから取っておいてください!」
「あ、せめてお礼を!よかったら、何か食べて~」
「いいっすよ!失礼します。ほら、チョコ、バイバイは?」
「あ・・・バイバイ・・・」
言われてあいている手をふれば、戸惑いながらもふり返してくれた。
「待ちなよ、サナちゃん!」
「ごめんね、えっちゃん。またLINEするから。」
「はい、奥さん・・・。」
後ろからそんなやり取りが聞こえたが、瑞希お兄ちゃんは止まらない。
さっさと会長さんのお店へと戻る。
「サナちゃん、待ってくれよ!怒ったか?」
追いついてきた会長さんが、瑞希お兄ちゃんに聞く。
「怒ってません。『無理だ』って言ってるんすよ。」
それに私の好きな人は、腰を下ろしながら答える。


