「いいえ。お怪我はないですか?」
「ないよ。坊や強いね?」
「はははは!噂のチョコちゃんだよ。」
「え?この子が『看板坊や』君?」
聞き返す店長さんに私も尋ねる。
「な、なんですかそれ?」
「すごくお兄さん思いだって有名だよ。さっきの技も・・・お兄さんに教えてもらったのかい?」
手首をひねって見せる店長さんにうなずいてみせる。
「う、うん。僕、瑞希お兄ちゃんみたいに強くなりたいんです。」
私の言葉にウェイトレスのお姉さんが微笑む。
「可愛いわ~ホント、末っ子っぽいわ~」
「ああ、とても『真田瑞希さんと凛道蓮君の弟君』とは思えないな。」
「いえ、僕がその凛道蓮です。」
「「あははは!冗談が上手いねー」」
声をそろえて笑い飛ばされる。
〔★信じてもらえなかった★〕
誤解が解けないまま、店長さんが会長さんに言う。
「会長も人が悪いですね。真田さんが加入したなら、そう言ってくれてもいいのに。」
(加入?)
「誤解っすよ!今のは、居合わせたからお節介しただけっすよ。」
「そういうなよ、サナちゃん。」
ニコニコしながら会長さんが言った。
「良い機会だし・・・あの話、本気で考えてくれないか?」
「いや、あれは無理ですよ。」
「チョコちゃんにも良い影響になると思うんだよ!良いお兄ちゃんの背中を見せて、育ててやりたいだろう?」
「あの・・・一体何のお話ですか?」
「パトロールの話だよ、チョコちゃん!」
「パトロール??」
「ちょ、会長!余計なことはー」
「そうだ!サナちゃん、1人が嫌なら、チョコちゃんも一緒に参加してもらっても良いぜ?チョコちゃん、わしらと一緒にパトロール隊員にならないか?」
「どういうことです??」
「ここ何年か、治安が悪いというか、風紀が乱れてるからな~俺達で悪い子供だったり、悪い大人を取り締まるのさ!」
「だからね、瑞希ちゃんも誘ってるんだけど、フラれっぱなしでね~!チョコちゃん、してみない?」
「してみない?と言われましても・・・」
笑顔で誘う相手に真顔で答えた。
「僕、ヤンキーなんですが?」
治安を乱してる代表者みたいなので、治安をよくするっておかしくない?
〔★矛盾している★〕


