彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)





「いいえ。お怪我はないですか?」

「ないよ。坊や強いね?」

「はははは!噂のチョコちゃんだよ。」

「え?この子が『看板坊や』君?」



聞き返す店長さんに私も尋ねる。



「な、なんですかそれ?」

「すごくお兄さん思いだって有名だよ。さっきの技も・・・お兄さんに教えてもらったのかい?」



手首をひねって見せる店長さんにうなずいてみせる。



「う、うん。僕、瑞希お兄ちゃんみたいに強くなりたいんです。」



私の言葉にウェイトレスのお姉さんが微笑む。



「可愛いわ~ホント、末っ子っぽいわ~」

「ああ、とても『真田瑞希さんと凛道蓮君の弟君』とは思えないな。」

「いえ、僕がその凛道蓮です。」

「「あははは!冗談が上手いねー」」



声をそろえて笑い飛ばされる。



〔★信じてもらえなかった★〕



誤解が解けないまま、店長さんが会長さんに言う。



「会長も人が悪いですね。真田さんが加入したなら、そう言ってくれてもいいのに。」

(加入?)

「誤解っすよ!今のは、居合わせたからお節介しただけっすよ。」

「そういうなよ、サナちゃん。」



ニコニコしながら会長さんが言った。



「良い機会だし・・・あの話、本気で考えてくれないか?」

「いや、あれは無理ですよ。」

「チョコちゃんにも良い影響になると思うんだよ!良いお兄ちゃんの背中を見せて、育ててやりたいだろう?」

「あの・・・一体何のお話ですか?」

「パトロールの話だよ、チョコちゃん!」

「パトロール??」

「ちょ、会長!余計なことはー」

「そうだ!サナちゃん、1人が嫌なら、チョコちゃんも一緒に参加してもらっても良いぜ?チョコちゃん、わしらと一緒にパトロール隊員にならないか?」

「どういうことです??」

「ここ何年か、治安が悪いというか、風紀が乱れてるからな~俺達で悪い子供だったり、悪い大人を取り締まるのさ!」

「だからね、瑞希ちゃんも誘ってるんだけど、フラれっぱなしでね~!チョコちゃん、してみない?」

「してみない?と言われましても・・・」



笑顔で誘う相手に真顔で答えた。





「僕、ヤンキーなんですが?」





治安を乱してる代表者みたいなので、治安をよくするっておかしくない?



〔★矛盾している★〕