彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)





「冗談じゃねぇ!真田瑞希がらみの店になんか、関わってられるか!」

「あの『凛道蓮』の兄貴だろう!?1人で飛翔連合に、堕裏亞、毒蝮、SHIELDときて、蛇の目をつぶした『凛道蓮』を手なずけてる兄貴だろう!?」

「『見た目詐欺の凶悪男・凛道蓮』の身内なんて危なすぎる!」

「『警察もヤクザも手玉に取る凛道蓮』の関係者なんて、危ないだろう!?」

「真田瑞希さんに逆らって、『ブラコンのジャック・フロスト』に恨まれてたまるか!」

「その帽子やるから、『凛道蓮』には言わないでくれ!!」

「こんな店、二度と来ねぇーよ!」



そう言って、1人、また1人と、瑞希お兄ちゃんに空になった財布を見せてから、逃げるように出て行った。

後には、帽子いっぱいのお金が残った。



〔★瑞希側の圧勝だ★〕



我先にと、入口に殺到して逃げていく若者の集団。

それを見送りながら奥さんが言った。



「よかった~さすが瑞希ちゃんね!」

「どっちかってゆーと、大原の奥さんのおかげっすね。」

「まったくだぞ!お前、サナちゃんが元ヤンのことをバラすなよ!」

「いいじゃない!あいつら、瑞希ちゃんにビビって逃げたんだから!聞いたでしょ、情けない捨て台詞!?」

「そりゃあ、そうだが・・・」

「どっちかって言うと、俺じゃなくて・・・」



(私・・・?)



〔★凛の情報ばかりだった★〕



「あの、ありがとうございました!」



ひどい言われようだと思っていたら、背後からそんな声が響いた。



「おかげで助かりました。追い払ってくれて、ありがとうございます!」

「坊やもありがとう。」



言ったのは、洋食屋さんの店長とウェイトレスだった。

2人の笑顔に、すさんだ私の心も和む。