「冗談じゃねぇ!真田瑞希がらみの店になんか、関わってられるか!」
「あの『凛道蓮』の兄貴だろう!?1人で飛翔連合に、堕裏亞、毒蝮、SHIELDときて、蛇の目をつぶした『凛道蓮』を手なずけてる兄貴だろう!?」
「『見た目詐欺の凶悪男・凛道蓮』の身内なんて危なすぎる!」
「『警察もヤクザも手玉に取る凛道蓮』の関係者なんて、危ないだろう!?」
「真田瑞希さんに逆らって、『ブラコンのジャック・フロスト』に恨まれてたまるか!」
「その帽子やるから、『凛道蓮』には言わないでくれ!!」
「こんな店、二度と来ねぇーよ!」
そう言って、1人、また1人と、瑞希お兄ちゃんに空になった財布を見せてから、逃げるように出て行った。
後には、帽子いっぱいのお金が残った。
〔★瑞希側の圧勝だ★〕
我先にと、入口に殺到して逃げていく若者の集団。
それを見送りながら奥さんが言った。
「よかった~さすが瑞希ちゃんね!」
「どっちかってゆーと、大原の奥さんのおかげっすね。」
「まったくだぞ!お前、サナちゃんが元ヤンのことをバラすなよ!」
「いいじゃない!あいつら、瑞希ちゃんにビビって逃げたんだから!聞いたでしょ、情けない捨て台詞!?」
「そりゃあ、そうだが・・・」
「どっちかって言うと、俺じゃなくて・・・」
(私・・・?)
〔★凛の情報ばかりだった★〕
「あの、ありがとうございました!」
ひどい言われようだと思っていたら、背後からそんな声が響いた。
「おかげで助かりました。追い払ってくれて、ありがとうございます!」
「坊やもありがとう。」
言ったのは、洋食屋さんの店長とウェイトレスだった。
2人の笑顔に、すさんだ私の心も和む。


