こうして私達は、食事を中断して問題のお店へ向かった。
「どこすか?」
「あそこなんだけどよ・・・」
会長さん夫婦に案内されたのは、お向かいの洋食屋さんだった。
軽く首を回すと瑞希お兄ちゃんは言った。
「俺が先に入ります。会長と奥さんは外にいて下さい。」
「いや、俺も行く。サナちゃん1人にはできん!」
「じゃあ、私はチョコちゃんと待ってるわ。」
「僕もお供します!」
「ダメだ、チョコちゃん!ばあさんと待ってろ!」
「いえ、そいつも連れていきます。社会勉強ですから。」
「ダメよ、サナちゃん!危ないわよ!?」
「連・れ・て・い・き・ま・す。」
宣言すると、何か言いたそうな老夫婦を無視して、瑞希お兄ちゃんは私の手をにぎる。
ラッキーと思う私の前で、彼はお店の戸を開けた。
私と瑞希お兄ちゃんで先にお店に入った。
「あ、いらっしゃいませ・・・」
くたびれた顔の店主が、申し訳なさそうに近寄ってくる。
入ってすぐ、お店は満員だとわかった。
「すみません・・・今、満席で。」
断る姿を、ニヤニヤしながら見ている半グレ達。
これに瑞希お兄ちゃんが言った。
「勝手にするか気にしないでくれ。」
そう告げると、すぐ近くで踏ん反り飼っていたモヒカンに声をかけた。
「眠そうだな、お前?」
「あん?」
「寝ちまえよ。」
トン!
(手刀!?)
そう判断した時、モヒカンはガクと前のめりになる。
「えっ!?」
「・・・は?」
驚く半グレ達の前で、彼は手首を動かす。
トントントン!
「うっ!?」
「かは!?」
「あ!?」
「はう!?」
それで1テーブル、4人の男が前のめりになった。
(すごい!さすが瑞希お兄ちゃん!!)
〔★瑞希は敵を秒殺した★〕


