彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




こうして私達は、食事を中断して問題のお店へ向かった。



「どこすか?」

「あそこなんだけどよ・・・」



会長さん夫婦に案内されたのは、お向かいの洋食屋さんだった。

軽く首を回すと瑞希お兄ちゃんは言った。



「俺が先に入ります。会長と奥さんは外にいて下さい。」

「いや、俺も行く。サナちゃん1人にはできん!」

「じゃあ、私はチョコちゃんと待ってるわ。」

「僕もお供します!」

「ダメだ、チョコちゃん!ばあさんと待ってろ!」

「いえ、そいつも連れていきます。社会勉強ですから。」

「ダメよ、サナちゃん!危ないわよ!?」

「連・れ・て・い・き・ま・す。」



宣言すると、何か言いたそうな老夫婦を無視して、瑞希お兄ちゃんは私の手をにぎる。

ラッキーと思う私の前で、彼はお店の戸を開けた。

私と瑞希お兄ちゃんで先にお店に入った。



「あ、いらっしゃいませ・・・」



くたびれた顔の店主が、申し訳なさそうに近寄ってくる。

入ってすぐ、お店は満員だとわかった。



「すみません・・・今、満席で。」



断る姿を、ニヤニヤしながら見ている半グレ達。

これに瑞希お兄ちゃんが言った。



「勝手にするか気にしないでくれ。」



そう告げると、すぐ近くで踏ん反り飼っていたモヒカンに声をかけた。



「眠そうだな、お前?」

「あん?」

「寝ちまえよ。」



トン!


(手刀!?)



そう判断した時、モヒカンはガクと前のめりになる。



「えっ!?」

「・・・は?」



驚く半グレ達の前で、彼は手首を動かす。



トントントン!



「うっ!?」

「かは!?」

「あ!?」

「はう!?」



それで1テーブル、4人の男が前のめりになった。



(すごい!さすが瑞希お兄ちゃん!!)



〔★瑞希は敵を秒殺した★〕