彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)





「えっちゃんとこ、『また』だよ!」

「なに?『また』来やがったのか?」



同時に、会長さんから笑顔が消える。

それで私達も無視できなくなった。



「会長さん・・・?」

「なんかあったんすか?」

「ああ、サナちゃんは気にしなくていい。」

「話すべきだよ!」



何でもないという会長さんとは対照的に、奥さんの方は口が軽かった。



「半グレが来てるのよ!」

「「半グレ?」」

「おい、サナちゃんには言ー」

「言った方が良いわよ!聞いてくれる、サナちゃん!?」

「いいっすけど・・・」

「実はねー!」



瑞希お兄ちゃんの了解を得ると、奥さんはしゃべり始めた。



「向かいの飲食店に、治安維持費だって言って、半グレが金を払えって来たのよ。」

「そういう制度があるんすか?」

「ないわよ!その時は、うちの人を呼んで追い返したんだけど・・・・・・次の日から居座ってんのよね!」

「居座る?」



どういう意味?と思ったら、奥さんが説明してくれた。



「一番安い商品を注文して、一日中居座るの!全部の席に座ってそれをやるから、そいつらが帰らない限り、普通のお客さんが入れない!むしろ、他のお客さんが入れないように、わざとしてるのよ!おかげで、ここ2カ月ぐらい赤字でねー」

「警察に言えばいいじゃないですか?」

「ダメなのよ、チョコちゃん。」



一般的な解決策に、なぜか奥さんは首を横に振る。



「商品は注文してるし、毎日通ってる常連みたいな形になってるから無理だって言ってなにもしてくれないのよ!」

「なにもしてくれないんですか!?」

「警察は民事不介入だからな!」

「民事不介入・・・」



〔☆良い子のためのワンポイント解説☆〕
民事不介入:犯罪とは関係のない個人間の紛争・喧嘩・もめ事には、日本の警察は関わらない・関われないという行政の決まりのことだよーん☆彡