彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




前々から思ってたけど、岩倉って、言葉の地雷を踏むのが上手いよね・・・。

気の毒な思いで見ていたら、私の視線に気づいたおじさんが言った。



「文句あんのか!?こんなバカでも、将来の上司として、1人前にしなきゃなんねぇんだよ!?」

「厳しい戦になりそうですね。」

「うるせぇよ!今日は返してやるが、次はねぇからな!覚えてろ!」

「痛っ!?ちょっと、痛いですよ~バラさーん!?」



鋭い目つきで捨て台詞を吐くと、若い刑事を引っ張って警察署の中に戻って行った。

後に残された私達は、誰となく互いの顔を見合わせる。



「相変わらず、ひでー態度だな?」

「でしょ、真田せんぱぁぃ!?チョー感じ悪いの~!」

「まぁまぁ、釈放されたんだからいいじゃないですか?」

「我が君のおっしゃる通りです。帰りましょう。」

「うははは!」

「ちーちゃん、弁護士呼んだって言ってましたけど・・・」

「ウェイウェイウェイ!中で手続きしてる系~待たずに帰ってイイ感じー!」

「そうですか・・・じゃあ、行きましょうか?」



ホッとしながら駐輪場へと移動する。



「それにしても、誤認逮捕ってひどいですね。」

「マジ鬼ヤバでしょ!?」

「ええ。ラムネと薬を間違えるなんて・・・」

「それは俺がすり替えたからですよ。」

「そうですか、つなぐがすり替え・・・え?」



仲間の1人が言った言葉で、全員がその相手を見る。



「すり替えた・・・?」

「はい。」



私のつぶやきに笑顔で答えると、ポケットからチラリと見せる。

透明な袋に入っている薬を。



「これとすり替えました。」

「え、ええ!?ちょっとちょっと!それって、まさか!?」

「そのまさかです。」

「ば、馬鹿!隠せ!」



危険薬物を見せられ、私と瑞希お兄ちゃんが同時につなぐに飛びつく。

薬を、つなぐのポケットの中へと押し戻してから、血相変えた瑞希お兄ちゃんが問いただす。