彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




(瑞希お兄ちゃん!?)

「もしもし!?」



菅原凛の姿にもかかわらず、反射的に出てしまう。

そんな自分にダメだししたが、そのミスが吹っ飛んでしまうほど、大好きな声が聞こえてきた。



〈もしもし、凛か?今、電話しても平気か?〉

「あ・・・あ~は、はい!一応・・・」



小声で返事をすれば、電話口の彼に笑われた。



〈その割には小声じゃん?まぁ長話するつもりはねぇーんだけど・・・薬の件、どーなった?〉



痛いところをつかれる。

返事に困ったけど・・・



「それが・・・薬を勧めてきた子が、いなくなってしまいました。」

〈いなくなった?〉

「はい。薬は返せた・・・そうなんですが、そのまま、いなくなってしまったそうなんです。」

〈返す時、もめたのか?〉

「ええ・・・受け取らないなら、あなたが飲まないなら、私があなたの分のサプリをあなたが飲んだことにして、私が飲むとか言ったりして・・・た、らしいです。」

〈ふーん。〉



私の説明に、低い声で返す瑞希お兄ちゃん。



「どうしましょう?」



指示をあおげば彼は言った。



〈周りは、いなくなったこと知ってんのか?〉

「はい。大騒ぎで、今も探しているみたいです。捜索願までは、どうなっているかわかりませんが・・・」

〈まともな親なら出すだろう。凛は手を引け。あとは大人に任せとけ。〉

「でも。」

〈オメーは、医者でもサツでも保護者でもねぇだろう?〉

「そうで・・・え?医者?」

〈多分そいつ、ドラッグ中毒になってるぞ。〉

「ええ!?」

〈他の奴に渡すはずだった薬を、自分が手をつける発言したんだろう?そりゃあ、相当だぞ。〉

「そんな・・・」



悪い予感が当たってしまった・・・。



〔★最悪の展開だ★〕