ヤマトに連絡した後、いつも通り授業に参加した。
(『同じ塾の女の子にあやしい薬を勧められて断ったけど、どうしても危ない気がするので通報した男の子』という設定にしたけど・・・)
異変は、お昼休憩を終えてから起こった。
「全員席につけ!」
(あれ・・・?)
いつものメンバーで、いつも埋まっている席が1つだけあいていた。
今日は欠席者もいない上に、最前列だったので余計に目立った。
「おい、坂口はどうしたんだ!?」
(いないの?)
教室に、彼女の姿だけなかった。
「猪口、一緒じゃなかったのか?」
熱血講師・赤井先生も異変に気づき、坂口さんの友達に問いかける。
これに女友達は、ぎこちない口調で答えた。
「それが・・・お昼ご飯を食べる時もいなくて・・・」
「なんだ?具合でも悪くなって、早退したのか?」
「わかりません。気づいたら、いなくなっていて・・・」
(・・・嫌な予感がする・・・)
先に帰ってしまっただけならいいが・・・。
それからあとは、気になって勉強に集中できなかった。
いつもより長く感じる勉強時間。
(坂口さんがいなくなったこと、通報したことと関係してる・・・?)
授業が終わったら、凛道蓮の携帯を調べなきゃ!
「では、今日はここまでにする!宿題は忘れないようにな!?」
先生からの解散の号令が出る。
すぐに帰る用意をしようとしたら、声をかけられた。
「菅原さん、レイと何があったの?」
「・・・猪口さん。」
相手は、坂口さんと一緒にいる友達。
先ほど先生に、彼女の行方を聞かれた子だった。


