彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




ヤマトに連絡した後、いつも通り授業に参加した。



(『同じ塾の女の子にあやしい薬を勧められて断ったけど、どうしても危ない気がするので通報した男の子』という設定にしたけど・・・)



異変は、お昼休憩を終えてから起こった。



「全員席につけ!」



(あれ・・・?)


いつものメンバーで、いつも埋まっている席が1つだけあいていた。

今日は欠席者もいない上に、最前列だったので余計に目立った。



「おい、坂口はどうしたんだ!?」



(いないの?)



教室に、彼女の姿だけなかった。



「猪口、一緒じゃなかったのか?」



熱血講師・赤井先生も異変に気づき、坂口さんの友達に問いかける。

これに女友達は、ぎこちない口調で答えた。



「それが・・・お昼ご飯を食べる時もいなくて・・・」

「なんだ?具合でも悪くなって、早退したのか?」

「わかりません。気づいたら、いなくなっていて・・・」



(・・・嫌な予感がする・・・)



先に帰ってしまっただけならいいが・・・。

それからあとは、気になって勉強に集中できなかった。

いつもより長く感じる勉強時間。



(坂口さんがいなくなったこと、通報したことと関係してる・・・?)



授業が終わったら、凛道蓮の携帯を調べなきゃ!



「では、今日はここまでにする!宿題は忘れないようにな!?」



先生からの解散の号令が出る。

すぐに帰る用意をしようとしたら、声をかけられた。



「菅原さん、レイと何があったの?」

「・・・猪口さん。」



相手は、坂口さんと一緒にいる友達。

先ほど先生に、彼女の行方を聞かれた子だった。