彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)





「あ・・・あなたは・・・?」

「もしかして、坂ちゃんからサプリをすすめられた?」

「え!?どうしてそれを知って・・・?」

「やっぱりね。」



うんざりした顔でその子は言う。



「あたしも、坂ちゃんに勧められたの。集中力が上がるサプリメント。」

「え!?受け取ったんですか!?」

「その場で返したけどね。」

「なぜ?」

「あなたこそ、なんで返したの?」



質問に質問で返される。なんでって言われても・・・



「それは・・・なんか、怪しい感じがしましたので・・・」

「だよねー?あたしもなの!いくら試供品だって言っても、薬の成分も表記されてないじゃない?大体、ライバルばっかの塾で、ライバルを助けるための薬とか渡す?あたし、あの子と同じ大学を志望してたから、毒でも盛ろうとしてんじゃないかって思ってさ!」



(疑ったわけね・・・)



「言われてみれば、そう考えるのが自然ですね。」



〔★説得力があった★〕



「あなたも断ったならいいけど、油断しない方が良いよ。じゃあね!」

「あ、ありがとう・・・」



同情的に言うと、手をひらひらさせながら行ってしまった。



そっか、あの子にもサプリメントをすすめたのか・・・



(・・・別に、内緒って言うわけではないのね・・・)



とは言え、心配だわ・・・。



(認めたくないけど、坂口さんは薬を飲んでいると考えた方が良いかもしれない・・・。)



あれが危険薬物で間違いないなら――――――――



(すでに中毒状態になっている可能性がある・・・。)



そうなっている以上、打つ手は1つ。



(ヤマトに頼もう!)



匿名で、代理で、警察に通報してもらうしかないっでしょう!?



女子トイレに入り、凛道蓮用の携帯の電源を入れる。

関西男子宛に、ミッションを出す。



―例の件、電話するなら、今!よろしく!!―



送信後、程なくして、了解のスタンプをLINEで返してきたヤマト。

それを見ながら、彼が上手く通報できることだけを祈った。