「あ・・・あなたは・・・?」
「もしかして、坂ちゃんからサプリをすすめられた?」
「え!?どうしてそれを知って・・・?」
「やっぱりね。」
うんざりした顔でその子は言う。
「あたしも、坂ちゃんに勧められたの。集中力が上がるサプリメント。」
「え!?受け取ったんですか!?」
「その場で返したけどね。」
「なぜ?」
「あなたこそ、なんで返したの?」
質問に質問で返される。なんでって言われても・・・
「それは・・・なんか、怪しい感じがしましたので・・・」
「だよねー?あたしもなの!いくら試供品だって言っても、薬の成分も表記されてないじゃない?大体、ライバルばっかの塾で、ライバルを助けるための薬とか渡す?あたし、あの子と同じ大学を志望してたから、毒でも盛ろうとしてんじゃないかって思ってさ!」
(疑ったわけね・・・)
「言われてみれば、そう考えるのが自然ですね。」
〔★説得力があった★〕
「あなたも断ったならいいけど、油断しない方が良いよ。じゃあね!」
「あ、ありがとう・・・」
同情的に言うと、手をひらひらさせながら行ってしまった。
そっか、あの子にもサプリメントをすすめたのか・・・
(・・・別に、内緒って言うわけではないのね・・・)
とは言え、心配だわ・・・。
(認めたくないけど、坂口さんは薬を飲んでいると考えた方が良いかもしれない・・・。)
あれが危険薬物で間違いないなら――――――――
(すでに中毒状態になっている可能性がある・・・。)
そうなっている以上、打つ手は1つ。
(ヤマトに頼もう!)
匿名で、代理で、警察に通報してもらうしかないっでしょう!?
女子トイレに入り、凛道蓮用の携帯の電源を入れる。
関西男子宛に、ミッションを出す。
―例の件、電話するなら、今!よろしく!!―
送信後、程なくして、了解のスタンプをLINEで返してきたヤマト。
それを見ながら、彼が上手く通報できることだけを祈った。


