彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)





私の一撃に、情けない声で大げさに騒ぐ相手。



「い、痛ぁい~!!鼻が!鼻が折れたぁ~!」

「折れてない。離してください、は?」

「絶対つぶれた!痛いよ、痛いよぉ~!」

「つぶれてない。凹んでるかもしれないけどな。だから、離してほしかったら・・・」

「痛ぁーい!!血が止まらない!折れたー!つぶれたー!」

「・・・マジで、潰すか折るかするぞ?」

「ひっ!?」



2トーンぐらい低い声で言ったら静かになる。



「で?なんて言うんだっけ?」

「は、離してくださぁーい・・・!」



再度問いかければ、やっと合言葉を言ったので解放してやった。

途端に、足元にへたり込む少年B。



「な、なんなんだよぉ~お前っ!?なんなんだよぉ~!?」

「ご覧の通りです。」

「はあ!?わかんないから聞いて・・・る・・・?」



急に、荒かった語尾が弱くなる。

どうしたのかと思えば、少年Bの目が私の腕で釘付けになっていた。



「その腕章・・・・!?」

「あん?」



相手が見ていたのは、モニカちゃんの手作りアイテム。

その腕章の文字を、震える声で少年Bが読み上げる。



「りゅ、りゅ、龍星軍・・・・・!?」

「それがどうした?」

「えっ!?もっ!もしかして・・・お前、いや、あなた様は・・・」



目を大きく見開きながら少年Bは言った。




「あの凛道蓮、さん、ですか・・・!?」

「そうですよ。」

「ひぃい―――――!!」



私の返事に、悲鳴で答える少年B。

這いつくばりながら、痛い!とうなっている他の3人の元へ向かうと、私を指さしながら叫んだ。