彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




瑞希お兄ちゃんの回想をしていたら、マナーモードの携帯が反応した。



ヴヴヴヴヴヴヴ!



「誰?」



表示された画面を見る。



「またちーちゃん・・・」

(言忘れたことでもあったのかな?)



画面をタッチして、携帯を耳にあてた。



「どうしたの、ちーちゃん?」

〈さっきの話、わかったよぉ~〉

「もうわかったの!?」



(早すぎない!?)



〔★長政の仕事は早かった★〕



〈ウェイウェイウェイ!つーことで、今から会おうよ、リンリン♪〉

「え!?宿題は?」

〈持って行くから~宿題しつつ、ボーイズトークしよう!〉

「かまいませんが・・・」

〈ウェイウェイウェイ!じゃあ、迎えに行くね!今どこ!?真田せんぱぁぃの家の近く系??〉

「あーまぁ、そうですね・・・。」

〈近所に公園あるじゃん?そこは?〉

「じゃあ、そこで待ってます。」

〈ウェイウェイウェイ!楽しみでテンションアゲアゲでしょ!後でねぇ~♪〉



チャラい声の電話が終わる。



「・・・もうわかったんだ・・・」



夜店での印象が強いけど・・・さすが、元半グレナンバーワンだわ。



〔★凛は長政を見直した★〕



瑞希お兄ちゃんに動かないと約束したけど、話をするだけだから違反にはならないはず。

ちーちゃんが巻き込まれるのは可愛そうだから、教えてあげるのは悪くないよね?

特に深く考えることもなく、公園の方へと進む。

瑞希お兄ちゃんの家に行く時、いつも通っている道沿いにその公園があった。

夜の公園ということで、とても静かで、誰もいな・・・




「ムカつくんだよ!」




いないこともなかった。



(先客?)



それにしては騒がしいような・・・??



「あ。」



見れば、4人の若者が、地面にまるまる1人の人間を踏みつけていた。



「なにをしてる!?」



怒鳴りながら近づく。

それで若者達は動きを止めた。

そして、私を見るなりそのうちの1人が舌打ちする。



「なんだよ、ガキじゃん!?」

「君達もでしょう!?」



明らかに中学生ぐらいの男子。

ヤンキーという感じでもない。

むしろ、どこにでもいる普通の感じの子達だ。

しかし、問題は彼らの見た目じゃない。




「君達が踏んでいるのは、人でしょう!?なにをしているんですか!?」

「うるせぇ!制裁の邪魔するなよ。」

「制裁?」



聞き返せば、鼻で笑いながら少年達は言った。