ギョッとして聞き返せば、瑞希お兄ちゃんは顔を上げる。
その目つきはガラリと変わっていた。
(初代総長の顔だ・・・)
険しくも、うるわしい表情になっている。
口を開いた彼は、有無を言わさぬ口調で言った。
「いいから帰れ、凛。初代命令だ。」
「で、でも!」
「初代の言うことは?」
「う・・・絶対、です・・・・。」
「じゃあいいな?」
「はい・・・」
(不幸だ・・・私。)
好きな人の言葉に、イヤイヤうなずく。
わがままを言えば、嫌われるとわかっていたので素直に応じた。
〔★凛は瑞希に逆らえない★〕
ガックリしながら、瑞希お兄ちゃんの頭から手を離す。
それに伴い、彼から少しだけ身を離したら――――――
「良い子だ。」
チュッ!
「え!?」
聞きわけの良かった私に、瑞希お兄ちゃんは額にキスしてくれた。
(ええええええええええええええ!?)
「お、お兄ちゃん・・・・・・・・!?」
「おりゃあ、聞き分けの良い子は好きなんだ。」
初めて会った時のような、いじわるな顔つきで笑うお方。
「これは俺らだけの秘密、モニカには内緒な?」
「はい・・・♪」
瑞希お兄ちゃんからの口止めに、首を縦に振ってそのままうつむいてしまう。
(ああ、幸せだ私!!)
でも、心はとっても前向き!!
〔★凛は元気を取り戻した★〕
上機嫌になった私に、瑞希お兄ちゃんが優しく言う。
「よしよし、機嫌治ったな?」
「うん♪」
「そうだ、これ持って帰れ。モニカが作ったサンプルだけど、龍星軍の腕章だ。」
そう言いながら私の腕に腕章をつけてくれた。
「ありがとうございます♪」
「よーしよし!じゃあな、凛。気をつけて帰れよ?」
「はぁーい♪」
瑞希お兄ちゃんにヨシヨシされ、裏口まで誘導され、外へと出される。
笑顔でお見送りをされる。
しばらくポーっとしていたが、ハッと我に返る。
(いいように、あしらわれた!?)
(チョロいよ、私―――――――――!)
〔★その通りだ★〕


