彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




うっとりする思いで彼にくっついていれば、瑞希お兄ちゃんは私の頭をなでながら言った。



「ドラッグも売春も悪いが・・・それを合体させる真似をしてるMESSIAHが問題なんだよな。」

「えへへへ!そうで・・・ー♪合体?」

「おう。」



私の肩に、自分の首を乗せながら言った。



「家出少女が逃げないように、薬漬けにして働かせてるみてぇーなんだよ。」

「ええ!?そういう合体!?」



悪質極まりないよ!

薬なんて、廃人になっちゃうって学校でも習ったし・・・!

売春だって・・・!



「つーことで、その飛び火で、龍星軍一番のバラさんが忙しいんだろう。集会するなら今だろうな。」

「・・・。」



そう言われても。



(・・・とてもそんな気にはなれない・・・)



チャンスだと喜ぶわけにもいかないが・・・



「納得は出来ました。」

「ほぉ・・・どんな風に?」

「ちーちゃんがいなくなって混乱してるから、ちーちゃんに混乱を鎮めるようにしてほしいと、警察の人達は言ってるということですね?」



現状は理解できた。



「だろうな。バラさん以外は、JAGUARとして幡随院が動けばいいと思ってるはずだ。」

「ひどい!大人のくせに、ちーちゃんに危ないことをさせようなんて・・・!」

「幡随院なら簡単に収めるだろう。凛の前では猫かぶってるけど、半グレの時の幡随院は怖いらしいからな。どうする、凛?」

「え?」



瑞希お兄ちゃんが私に問いかける。



「幡随院にJAGUARとして動けって命令するか?」

「しません!」

「即答かよ?」

「当然です!」



友達同士で命令とかおかしいよ!なによりも―――



「ちーちゃんがJAGUARに戻らなくても、MESSIAHにお仕置きは出来ます!」

「あ?」

「この町をしきっているのは、龍星軍です!僕が討伐します!」

「凛・・・。」

「僕が、MESSIAHを警察に突き出します!」

「だめだ。」



私の宣言を瑞希お兄ちゃんが否定した。