考える私に、瑞希お兄ちゃんは言う。
「幡随院が抜けた穴は大きい。半グレ世界にニラミが利かなくなっちまったことで・・・JAGUARが禁止していたことを好き勝手し始めるんだ。」
「禁止していたこと？」
「JAGUARは、龍星軍みたいな硬派チームだ。薬とかもやってなかった。むしろ、他の半グレがそういうことできねぇように、取り締まって抑え込んでいた。警察よりもいい仕事をしてたって言っていい。その率先してやってた幡随院がやめちまったから、好き勝手に裏で商売しようって奴らが暴走してんだよ。」
「え！？ちーちゃんがやめたのって、けっこうマズかったんですか！？」
「今頃気づいたのかよ？その分だと、凛がJAGUARの奴らに恨まれてることも知らねぇよな？」
「僕、恨まれてるんですか！？」
「違うと言ってやりたいんだけどな・・・会うことあったら観察してみろ。態度ですぐわかると思うぞ。」
「そうですか・・・」
見てわかるってよっぽどじゃない。
神様、出来れば会うことありませんように。
〔★凛は祈りをささげた★〕
「あの・・・MESSIAHの件は、ちーちゃんに伝えた方が良いでしょうか？」
「好きにしろ。どうせJAGUARの奴らが、幡随院に泣きついてることはないと思うからな。」
「すごく慕われてましたよ？」
「だからだ。かっこ悪いところ見せたくないはずだぜ？わかるだろう？」
「・・・わかります。」
そうね・・・私が同じ立場なら、瑞希お兄ちゃんには言えないわ。
（２代目総長も、そんな気持ちだったのか・・・？）
「凛・・・どうせお前の耳にも入ると思うが・・・今から話すことは、聞くだけにしてくれ。」
「え？なんでしょう？」
「バラさんが手を焼いて半グレチーム・MESSIAHのことだ。」
そう前置きすると、瑞希お兄ちゃんは教えてくれた。
