『ああそうだ。ユキ、俺の友達が飲みに来てんだ。紹介するよ。』


『アキ。こいつ。俺と中学からのツレなんだ。』


カウンターの、反対の端っこで一人飲んでいる人。


アキ、と呼ばれて、こちらを向いた。


中肉で、緑のツバのキャップを被っている。黒のTシャツを着て、柔らかそうな年期の入った、言い方を変えれば、汚いジーパンを履いている。

少し猫背気味に腰掛け、右手のロックグラスを、ゆっくり左右に傾けながら、

軽くあたしに会釈をした。


帽子のツバが上下に動いたので、会釈したんだと思う。



『あっ、こんばんは…』

あたしは両手を太ももに置き、かしこまって挨拶をした。


人に良く見られたいと思う、この自分の性格が時々いやになる。


それでも、ついつい謙虚な…下手(したて)に出る感じは直らない。