もしもあの時


会場に着き、車内から出ると、凍てつくような寒さが身に沁みる。


皮膚を刺すような寒さに背筋が伸びた。



やっぱりこっちのほうが寒いよな。



もう既に俺達に会話は存在しなかった。



『寒いな』



そんな言葉さえ出すことができない。



会場に向かいながら、すれ違う人達に頭を下げる。



こういった場所に来るのは初めてなわけではない。



それなのに、会場内は感じたことのない空気に居心地が悪かった。



元々、楽しい場ではないのはわかっている。



でも、何かが違う。



その違和感を感じながらも、何が違うのかわからないまま喪服に着替えられる場所を探した。



逃げ出したい…



うまく空気が吸えない…



それでも毅然とした態度をしていたのは、もう限界だったんだ。