昇降口の近くでうろうろしていた私に、そう声をかけてクラス表を渡してくれた人にお礼を言って、それに視線を落とす。


──あの日と同じ、感覚がした。

知らない名前ばかりのクラス表に、ひとつだけ……知っているかもしれない、名前を見つけた。

1年A組の私と同じ枠の中にある、


“戸生京佑”


という名前は、きっと、私がずっと会いたいと思っていた人だと、そう思った。


──『これ、落としましたか』


半年前、私がひとめ惚れをした“トジョウ”さんと、ここに書かれた“戸生”さんは、きっと同じだと……期待してしまった。