「実希ちゃん?」
「ほい?!」
「なにその声、かわいい」
「?!」

一之瀬さんの言葉に、なんと反応したらいいか分からず目を白黒させていると、一之瀬さんは「ゆっくりしてってね」と一言残してレジ応援と向かった。


想くんと仲直りして、一之瀬さんとも昔通りの店員とお客さんの関係に戻ってから、私は再びこの本屋に足を運ぶようになった。

仲直りした日、想くんに抱きしめられた。まあその場の流れでしょうがなく、みたいな感じではあったけれど彼氏もできなことのない私にとって重大事件だった。しかし、そんな私とは裏腹に想くんは至って通常運転である。