「…さっきの、ほんとにびっくりした…」
はぁー、と深い溜息をつきながら、夏目さんは机に頭をつけた。
「え…?」
「別れ話だと思ってたから…すきとか、言われると思ってなくて…」
夏目さんの顔をよく見ると、耳まで真っ赤だった。
「だ、だから言ったじゃないですか。別れ話じゃないって…。信じてくれてなかったんですか?」
「や…信じたかったけど…俺何も、亜子にしてやれてないし」
前髪をくしゃっといじりながら顔を上げた夏目さん。
私は、また涙が出そうになった。
「何もしてやれてない、なんて、嘘。私は、いっぱいいっぱい…夏目さんに…っ」
零れてしまった。
我慢してたのに…

