「大丈夫ですか?亜子、何してんのよー」

「だ、だって…びっくりして…」

なんだかとても悪いことをした気分になった。
私が俯いていると、彼は、夏目さんは私の頭に手を置いた。

ぽんっ

「ごめんな、びっくりさせて。でも、会いたかった」

そんな直球で、そんな優しく言いますか?
私は顔があげられなかった。
なぜって…?
だって、反則でしょう…、こんな優しいの。

「なあ、今度デートしよう。今突き飛ばしたお詫びな」

そう言って夏目さんはスタスタと歩いて行ってしまった。

は?
デート?
私、生まれてこの方、デートといわれるものをしたことがないのだけど。
しかも今ののお詫びとか、勝手に決めんな!

「よかったじゃん!!今日はさっそくデート服探しに行かないとね」

なぜか麗奈は乗り気だ。