4階の教室から3階まで降り、渡り廊下に行く。

飛行機、ここからなら見られそうだな。

いい天気だし、寝転がろうかな。

『おい、お前、何やってるんだ?』

「え?あー、寝てます。」

『は?いや、それはわかってる。お前、入学生じゃないのか?』

「そうですけど…あの、どなたですか?」

『は?ここの教師。』

「いや、それはわかってるんですけど、名前は?」

『あー、お前の担任の、鷹山 優都(たかやま ゆうと)だ。お前は?』

「日下部 陽葵(くさかべ ひまり)。」

『んで?日下部は何やってる?』

「…飛行機、見てます。」

『あー!知ってたのか!?俺だけかと思っていたのに…新入生なのによく知っていたな!』

「あの…何を言っているのかよくわからないんですけど…」

『え?ここが飛行機が見える場所って知っていたんじゃないのか?』

「知らなかったです…え!?見られるんですか!?」

『おー、見えるぞ。俺もたまにここに来て飛行機を見るんだよ。俺だけの場所だって思っていたのに、まさかもう知られるとはな。』

「たまたまここに来たんです。見られるかなって思って…」

『まあ、何人かはこの場所知ってるけどな。』

「…そうなんですか?でも、秘密の場所なのに、なぜ?」

『悩んでるやつをここに呼ぶんだ。そしたら、飛行機が見られるだろ?飛行機は世界中どこでも行けるんだぞ。』

「…お母さんと同じこと言ってる。」

『何か言ったか?』

「いえ、何も。それより、先生はここにいて良いんですか?」

『あー、ダメだけど、お前を見つけたからな。…そう言うお前もな?入学式、出ないのか?』

「…私は、良いんです。」

『そうか…まぁ、ほどほどにな?』

そう言って、先生は渡り廊下から校内に入って行った。