家を出ると案の定、深侑はまだいなかった。
私はまた深侑の家に入る。
深侑は玄関ですでに靴を履いて座っていた。
「あ、夏生きた」
「なんか来たみたいに言わないでよ。
ほら、立って」
深侑は待ってましたとばかりにネクタイを持って立ち上がった。
180センチくらいある深侑の首にネクタイを結ぶ。
私がいうのもあれだけど、深侑は学校ではかっこいいと女の子達の間では噂になってる。
よく下駄箱に手紙とかプレゼントとか入ってるし。
そんな女の子達には深侑がクールで何でもできる人だと思われてる。
実際は自分で起きることもネクタイを結ぶこともできないのに。



