なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー





翼くんに連れてこられたのは大きな川が見える公園。




「ここで待ってて」と言われたので手すりに掴まって川を眺める。




川の向こう側の街並みに明かりが灯って、それが川に反射して綺麗に映っている。




辛い時なせいか、その光景がすごく心に染みる。
ずっと見ていられるな。




「お待たせ!」


「わ!ビックリした!」




いきなり頬に暖かいものが触れたかと思えば私の視界に翼くんの顔が入ってきた。




暖かいものを触ったらそれはペットボトルのお茶だった。




もしかしてこれを買ってきてくれたの……?




「それは寒いところに連れてきちゃったお詫び。
遠慮なく飲んで?」


「……ありがと」




お茶を両手で持って手を温めた。




翼くんも缶コーヒーを買ってきていて、私の隣に立ってコーヒーを飲んでいる。




翼くんに釣られるように私もお茶を飲んだ。
暖かいお茶が喉を通って体を暖めていく。