「茜さんの車の中から出てきました。
勢いよく衝突されたせいでかなり変形してしまってますがお渡ししておきます」
「…これ、は……っ」
警察官の人に渡されたのは汚れて破けたスクールバッグと、潰れて原型を留めていない箱だった。
箱をなんとか開けると入っていたのは変形してしまって履けそうにないローファーと制服に身につける赤いチェックのリボンだった。
ローファーの下には"夏生へ"と書かれた封筒が入っていた。
『夏生へ。
誕生日おめでとう!
来年はいよいよ高校生だね。
ちょっと早いけど高校入学のお祝いと誕生日プレゼント兼ねて欲しがってたローファーとリボン、そしてスクールバッグをプレゼントするよ!
これで高校生活楽しんでね!
楽しまなかったらお姉ちゃん許しませんからね?
なんてのは冗談で。
改めて誕生日おめでとう!
あたしの大好きな大好きな夏生。
これからも仲良くしてね。茜』
誕生日カードにお姉ちゃんの字で私へのメッセージが書かれていた。
「…これらのものはお渡しできましたが、あとケーキのようなものもありまして、そちらはお渡しできるような状態ではなかったので処分させてもらいました」



