「…茜が亡くなってから、夏生は一度も泣いてない。
いつも"大丈夫だよ"って笑うだけ。
だから一人になった時に泣いてるんじゃないか、悲しんでいるんじゃないかって考えると眠れなくなる」
「…そっ…か」
深侑の頭の中は夏生センパイのことで頭がいっぱいになっている。
そんなこと分かりきってたはずなのに、そう思うと曖昧な返事しかできなかった。
机の上に置いてあった深侑のスマホが短く二回震えた。
知ってる。
スマホが短く二回震える通知は夏生センパイからのメッセージ。
夏生センパイからのメッセージだけを他の通知とは違う設定してるのも知ってる。
スマホを見て深侑がまたさっきみたいに微笑んだ。
二人の間にアタシの入る余地なんかない。
夏生センパイはアタシの憧れのセンパイ。
優しくて面倒見がよくて美人なセンパイが大好き。
そんなセンパイと深侑のことを応援したい気持ちもある。
でもね?深侑。
少しだけでもいいからアタシのことも見てほしいんだよ。
【side end】



