なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー





放課後。
図書館で勉強をして夕飯の買い物を済ませる。




深侑に夕飯何がいいかLINEしたら、一言『カレー』と返ってきた。




きっと深侑は先に家にいるはず。
お腹空かしてるだろうから早く作ってあげないと。




「…ただいま。深侑、いる?」




家に入ると玄関に深侑の靴があった。
でも名前を呼んでも返事がない。




靴を脱いですぐ、深侑がどこにいるのかが分かった。




電気のついた和室。
そこを覗くと座布団の上に胡座をかく深侑がいた。




「…深侑?」


「…ん、夏生?おかえり」




胡座をかいた膝の上で頬杖をついていたから、きっと寝てたんだろう。
声も何となく眠そうだし。




「ずっとここにいたの?」


「……ん、茜寂しいかなと思って」


「そっか。ありがとね」




荷物をその場に置いて、深侑の隣に座る。




正面の仏壇に飾られている黒のストレートの綺麗な髪を風になびかせ、太陽にも負けないような眩しい笑顔を浮かべる彼女に笑いかけた。




「……ただいま、茜お姉ちゃん」