なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー





「…実際、そんな夏生のことを狙ってる男子もいるし」


「えぇ!?そうなの!?」




噂話には疎い方だけど、自分がそう見られていたことすら知らなかった。




すると隣から何かが折れる鈍い音がした。
隣を見ると深侑が片手で割り箸を折っていた。




「み、深侑…?」


「…なんでもない」




どこか怒った感じの声音が気になるけど、本人になんでもないと言われたら何も言えなくなってしまう。




触らぬ神に祟りなしというので、何も言わずにお弁当を食べる。




でも葵ちゃんの話にまた箸が止まってしまう。




「そういえばもうすぐ、ですか?3年になるの」


「あ、うん。そうだよ」


「………」




チラッと深侑を見たけど、深侑は何も言わずに最後のシュークリームを食べていた。




そっか。もう3年経つんだね。




葵ちゃんに言われて、時間があっという間に経ったのだと思い知らされた。