授業終了のチャイムが鳴る。
私は急いで教科書をしまい、カバンを持って立ち上がる。




「柊花!早く行くよ!」


「ちょ、夏生引っ張らないでって!」




いつも学食の柊花が財布とスマホを持ったのを見て手を引っ張って連れていく。




文句を言いながらも引っ張られる手を離そうとしないのは、私が急いでる理由が分かるから。




食堂に到着するとすぐに大きな背中を見つけた。




近付いていくと向かいに座る二つ縛りの女の子が私達の存在に気付いて手を挙げた。




「あ!夏生センパイ!柊花センパイこっちでーす!
深侑、夏生センパイ来たよ!」


「…夏生?」




元気よく私達に手を振る葵ちゃんに手を振り返しながら深侑を見た。




こっちを振り返った深侑はふっと笑って私に小さく手を振る。




深侑に手を振るのが恥ずかしくて慌てて手を引っ込めてしまった。




「ちょ、深侑!
センパイはアタシに手を振ってくれてるんだから!」




葵ちゃんは向かいから深侑の手を掴んで机に下ろした。