偽りの笑顔、泣いている心

外へ出ると辺りははもう闇に包まれていた。私は、今日のターゲットを確認しようとリストを出す

そして、リストに書いてあるターゲットの量を見て、狂ったように笑う。そんなことをしている時点で私はただの殺人人形だろう、と思っていると、一人目のターゲットが居るところに着いた

『ここね』

見た目は普通のバーだけど、ここで何が...いや、正確にはここの地下で何が行われているか私は分かっている。しれっとした顔でバーに入って席に座れば、ご丁寧にオススメのカクテルを勧めてくれた

生憎、それには興味ないのよ

私は無理矢理作った笑みを浮かべながら、そっと耳元で地下はどこか聞いた。すると顔を強張らせた店員。店員は人気の無い所に誘導し、先ほどとは全く違う低い声で話し始めた

「...地下の存在を知っているのはほんの一握りだ。なぜ、貴女のような若い女性が知っている?それと、地下に行きたいなんてそれ相応の理由が無いと行けないし危険だ。今すぐ引き返すことをオススメする」

『ご忠告どうも。でもね、ここまで来たら諦めるわけにはいかないのよ』

「行きたい理由はなんだ?」

この人しつこいわね...まあいいわ。殺しの前に、遊ぼうかしら

『...依頼よ』

そう言うと怪訝そうな顔をした店員

「何の依頼だ?」

あーもうターゲットのこと以外話しちゃいましょうか。危なくなったら、脅して黙らせることもできるし、今私はサングラスとマスクをしているから、万が一このことを話されてもさほど問題ないわ

『さ、つ、じ、ん、の。ったく、近頃はめんどくさい輩も居るもんねぇ...殺しなら勝手にやればいいのにって感じ』

「ならなおさら『借金。恩人。マスター。肩代わり。親。心中...天涯孤独』

これらは、店員の過去に関する単語だ。ここを通さないと、痛い目に遭うよ。という意味を込めた。案の定悔しそうな顔をしつつ、地下に続く階段まで案内してくれた