『バカっ…何…謝って…んだよ…』
亮二の言葉はとぎれとぎれで。
申し訳なくて涙が溢れそうだった。
でも、私は泣いちゃダメなんだ。
堪えなきゃ。
亮二の前では、
私の幸せを願ってくれてる亮二の前では、
涙なんて見せちゃいけない。
『お前は笑ってろよ、絶対
失恋なんて…辛いだけなんだから』
亮二の手が頭の上にのる。
クシャクシャと、されて
「髪型が崩れちゃうじゃん」
そう私が言うと亮二は笑った。
さっきの切なげな顔はどこかへ飛んでしまったようで。
晴れ晴れとした、いつもの亮二の笑顔。
その笑顔に胸が締め付けられた。
でも、これでよかったんだ、きっと。
『じゃ、零
お前もちゃんと、キモチぶつけろよ
世界１幸せになって笑ってろ
お前の笑顔が俺は好きだったんだから』
立ち上がった私の背中を亮二は押す。
それはあの日を見ているようだった。
卒業式のあの日
海斗に背中を押されて走り出した私は先生のもとへ走った。
必死で、必死で。
そして今も。
亮二に背中を押された私は走った。
大好きなあの人のもとへ
