ニコッ。


縋るようなあたしの視線をその先輩は優しく受け止めて、笑いかけてくれて。


ただの思い込みかもしれないけれど、彼のふわりとした笑顔にあたしの緊張は一気にほぐれた。


「…平成○○年、4月5日、新入生代表、雨宮美優羽」


パチパチと温かい拍手があたしを迎える。


はあぁぁぁぁ。


疲れた…ほんとに疲れた…


なんとか最後まで言い切ったあたしはぺこり、とお辞儀をして壇上からおりる。


自分の席に帰る時さっきの先輩の近くを通るとまた笑いかけてくれた。


…なんでだろう。


あたし、彼を知ってる気がする。


温かいその笑顔に不思議な気持ちとともち鼓動が少し高鳴った。