私はなにもわからないままただ森の中を走っていった。
途中でなにもわからなくて雨の中しゃがんで泣いていた。

「ﾊｧﾊｧ 美月。」
「来ないでよ。なんで追いかけてきたの？」
「父さんが浮気して母さんずっと泣いてた。朝も昼も夜も。仕事もしないで泣いてた。」
「誰も聞いてない！」
「俺は母さんになにもしてあげられなかったんだ。ただ謝ることしか出来なかった。俺がいなかったらさ、父さんは浮気してなかったんだから。俺は母さんと父さんの子じゃない。」
「え？」
「俺はな、母さんが子供ができない身体だから養子に、て言って父さんの許可無しに連れて来られた子なんだ。最初はいらない。誰も信用しないって思ってた。でも違ったんだ。美月が教えてくれたんだ。美月は俺がそれを知った時でも辛い顔してる時でも内容に触れるわけでもなくそっと明るい笑顔で隣にいてくれた。美月は俺にとって大切なんだよ」
「しゅんちゃん」
「だから自分がいなければなんて考えるな。美月はたくさんの人から必要とされてるんだ。だから...」
「しゅんちゃん！帰ろう？」
「そうだな。美月、美月にはその笑顔が似合ってるよ」