昼の12時を告げる鐘が、街中に響く。
それと同時に、私は中断していた片付けを再開させる。

本当は、今日は出社しなくて良かったはず。
でも昨日はひっきりなしに会いに来る人が居て、あまり片付けが進まなかった。
嬉しい悲鳴ではある。

そろそろあの人が来るはず。
やっぱり最後に会うのは、あの人だろう。


‐マナミ!会いに来たよ!!

最後の来客者がやってきた。

‐ありがとう、ガブリエウ

最後の来客者は、やっぱりガブリエウ。

私達は頬を寄せて挨拶をする。
もうすっかりとこの挨拶に慣れてしまった。


‐しかし携帯電話を解約してしまうって不便だよ!2日前に解約したんだって?

‐でもタブレットがあるからメールもラインもできるわよ。家を引き払うついでに解約しちゃった。

‐えっ?!もう引き払ったの?!

‐うん。2日ぐらいホテルで十分よ。

私は既に部屋を引き払ったし、もう準備は万端だ。


‐いつ帰国するの?

‐今日だよ。17時のパリ行きに…

‐今日?!

目を丸くして驚くガブリエウ。

すると「HAHA!!」と笑いながらエリックが割り込んだ。

‐もう少しのんびりして行けば?と言ったんだけれどね。
早く帰るって聞かないんだ!!


そう、今日は私の最後の出勤日。

今日私は、日本に帰国する。