『今日会おう、迎えに行くよ』


そう章から連絡がきたのは、週末に入った土曜日‐章がノルウェーに旅立つ前日だ。

それまでの間は、仕事が終わると章の部屋に行き、章に代わって荷造りをした。
そして終電の少し前に、自分のマンションに帰宅した。物も徐々に引き上げて行った。

章が帰ってくるのは終電なので、ロクに顔を合わせていない。
うちの部に別れの挨拶に来た時ぐらいだろうか。


忙しくてあまり事件のことは考えられなかったから、正直良かったのかも知れない。



『迎えに行く』と言っていたものの、夜になっても章からの連絡は来ない。


(連絡した方がいいのかな?)

時計を見ると、そろそろ夜の9時を指そうとしている。
どうしようか迷って携帯を手に取った瞬間‐ブルルっとバイブが鳴る。