「翔太はわがままに育つぞー。末っ子長男だから、俺とお父さんと一緒だ」
章はまたクスクス笑っている。

私ははぁっとため息をつく。
「わがままで強引な性格には育てたくないんだけどね・・・」

「・・・誰のこと?」

「・・・さぁ?」

そっけないフリをして窓の外を眺める。
章は不満そうにうーん、と呟いている。


「あ、そうだ章。うちに寄って欲しいんだけど」
スーツの上着、私が持ったままだ。

「どう行けばいい?練馬だっけ?練馬インターチェンジ?」

「うん、環七方面…」

「って何?」

「・・・高速降りたら説明する」

「はいはい、安全運転でまいりますよっと」


そう言って章は運転を続ける。
来た道をまた戻り、私達は東京へ車を走らせる。