「しかし、翔太はおじさんそっくりだね」
章は思い出してクスクス笑っている。

「もうお父さんの溺愛ぶりはすごいよ・・・本当は翔太を産むのに1番迷ってたの、お父さんだけど」

「えっ、そうなの?何で?」


そう言われて、んーと・・・と当時を振り返る。

「ほらさ、翔太が成人する頃は2人とも還暦なわけじゃん。お父さんは年金貰う歳になってるし・・・。
だからね、ちゃんと育てられるか不安でね。うちは頼れる親戚も居ないし」

だから、両親は相当迷っていたらしい。

「でもね、産む決意をして、もう何がなんでもこの子を幸せにしようって。そうみんなで決めたの。
翔太には、何一つ辛い思いはさせたくないの。翔太にとって、ずっと幸せな家族でありたい」

翔太と幸せな家族でありたい‐それは両親と私の願いだった。
だから‐過去にひきずられるわけには行かなかったし、みんなでここまでやってこれたのだ。