数分後、一旦吐き気の波がおさまった。
すると章はすっとコップを差し出した。
「口ゆすいだら、一旦休んでて」

そのコップでうがいをすると、章はまた私を抱えてベッドまで連れて行く。

お姫様だっこ。
私を軽々と持ち上げて、廊下を歩いていく。

「信じられないぐらい、軽いよ」

「高1のマックスの時から、15キロぐらい落ちた」

すると章は、はぁとため息をついた。

「もうちょっと太ってた方が抱き心地はいいから・・・もうちょっと太って」

「何それ」

「いいじゃない。俺専用で」


そう言って私をゆっくりとベッドに降ろす。

「ごはん作るから、ゆっくりしてて」

章は私の頭をなでると、隣の部屋に消えて行った。



章が居なくなった部屋の中、私はゆっくりとベッドに横たわる。
さっきから私がくるまっているブランケットとベッドからは、章の匂いがする。

-安心するなぁ


そう思っていると、いつの間にか私は眠りについていた。