「だけど、大丈夫?傷の後遺症とか、他にも影響とか・・・」

「それは・・・大丈夫、切られた以外は・・・」

そう言いかけた所で、過去がまたフラッシュバックする。


-『あの人』の顔



「ごめ・・・トイレ・・・」

胃がまた拒否反応を示す。
それに章は気付いて、私を抱えてトイレまで連れて行く。

トイレの便器に伏せる私の背中を、章はゆっくりとさする。


「・・・何も食べてないの?」


「昨日から・・・食べられなくて・・・」


胃が拒否反応を示すものの、出す物が無い。
出るのは胃液ばかりだ。

胃液しか出ないのに、それでも全てを吐き出そうとする。
悲鳴をあげる体を、章の手が優しくつつみ込むように触れる。