「これで全部。今までのことは」

そう言うと、章はゆっくりと頷いた。

「まぁ、納得はいったかな。頭はついていかないけれど」
頷きつつも、頭がぼんやりしているように見える。


「そりゃそうでしょう。いきなりこんな傷見せられて、こんな話ぶっ込まれたら」
はぁ、とため息をついた。

「『身体的な理由で男と付き合えない』ってこの傷のこと?」

そう聞かれて、コクりと頷く。
「さすがにね・・・これじゃ裸になれないから。手術跡としても誤魔化せない。
 過去の事も一切言っちゃいけない・・・て、章に言っちゃったね、どうしようか」

正直、知ってしまった章は『狙われる可能性』がある。


「大丈夫だよ。もし何かあっても・・・俺が連れて世界中逃げるよ」
章はまた私を抱きしめた。
章の腕の中は・・・懐かしい匂いがして、安心する。