ただそのメールには落とし穴があって、章は現地の携帯電話だったので日本語入力ができない。
たまに文字化けもする。

なので、私達は英語でメールをやり取りするようになっていた。
章はインターに通っていたので、英語での表現は問題はない。
一方で私は英語のボキャブラリーがさほどなく、もっと勉強したいと思っていた。
そして英会話の日数を増やした。

そしてその分の増えた月謝を補うために、アルバイトをはじめた。
章に会いに行く時の費用を貯める為でもあった。


これが大きな間違いだったのだ。



「私ね、バイト先でストーカーされていたの。
そこの一族は有名人で・・・議員一族だったわけ」

たまたま始めた、隣町にあるレストランでのバイト。
そこに仲間と来た、大学生だというあの人。
・・・もっともハタチをとっくに超えた年齢ではあった。

「毎日毎日、やってきては私に話しかけるわけ。
それだけだったら良かったんだけど、次第にエスカレートしていって・・・つけ回されるようになった」

やがて帰りも待ち伏せされるようになり、店長や社員さんが家まで送ったりしてくれるようになっていた。