服を脱ぎ捨てた私を、章はソファーにあるブランケットでくるむ。
そして私を抱えて、隣の部屋のベッドまで連れていく。


章は私をベッドに座らせて、ぎゅっと抱きしめる。
震えてるようにも思えた。

「確かに・・・あの時医者が言っていたんだ。『背中に傷があるみたいだ』って・・・」
こんなに酷いなんて・・・と呟く。


「やっぱり・・・あの時、章は居たんだ」

「ああ、そうだ」
そう言って、さっきよりも強く抱きしめる。

「お父さんは見てないって言ってたから・・・私の幻かと思っていた」

ぼんやりとした意識の中、確かに章がそこに居たような気がしていた。
私は手を握って「ごめんね」と言ったような気がしていた。


「お父さんが病院に到着した時は、夜8時を回っていたらしい。すぐに転院したから、お父さんは章が居たことは知らなかった・・・」

あの日、お母さんもショックで倒れてしまって、お父さんの到着が大分遅れた。

「だから願望が幻として見えただけだって言われて、次第にそうかなって思うようになっていった」