章とした『3年後』の約束。
何度も何度も、確かめるように「絶対だよ」と言った。


‐叶うことはなかったけれど


完全に夜が明けて、章を見送りにバス停まで歩く。
古びたバス停に2人並んで座る。

「時間が止まればいいのになぁ」
章はそう呟いた。

そんな願いも空しく、バスは無情にもやってくる。

乗り込もうとした章は、もう1度振り返った。
「手紙を書くよ。それじゃ3年後、また」
そう言って、また私にキスをした。

そしてバスに乗り込んでいき、バスは出発してしまった。

私は再び涙が溢れた。
これが中学生だったの私達の『精一杯』だったのだ。


泣きながら家に帰り、ベッドへ横たわる。
章の匂いが、完全に消えた布団。

私は更に大粒の涙があふれた。


‐人生で1番泣いた日だった


あれから・・・もう13年だ。
約束は果たされることはなく、10年が過ぎた。


私は別人として、人生を歩み始めた。

それでもこの果たされなかった約束が、胸の奥底に引っ掛かって外れない。