スタードロップス

家のドアに手をかけると
部屋から深月とお母さんの
ケンカが聞こえた。


「なんで、こんなことも出来ないのよ!?」


「なんでそういうこと言っちゃうの!?
そんなの人それぞれじゃん!」


毎度毎度のケンカ。
家に入ったら失われる心。



私の居場所はここにはないのかな──…。


他に楽しいこと、嬉しいことを
桜庭くんが教えてくれたから、
こんな世界に足を踏み入れるのが
酷く滑稽な気がして、玄関から走り出した。


春の夜、少し肌寒い風。
そんな冷たさが今は心地よい。
自分を落ち着かせてくれるような、
春の風が。



まだそんなに時間は経ってない。
近くにいるはずだ。