小さな小さな少女の話

闇の中で少女は歩く、
白いが所々に汚れがあってまるでぼろぼろの布ぞうきんのような服を身にまとい
錆て朽ち果ててしまった手枷だったものと足枷だったものを細く、ちょっとでも強く握ってしまえば簡単に折れてしまいそうな手と足に付け

少女は暗く闇が一層深い森の中をひたすらに、何の目的もなく、ただただ歩く。
時折あおあおとした草が少女の白い肌を裂いていったが少女は思った。

(こんな傷、痛くないわ、なぜだか、あったかい)

そう思いながらひたすら歩いた。
すると暗い闇の中で光る小さな小さな眼が二つ
ミミズクが現れそうして少女に問うた。

「ねえ、人間のちいさな子、そんなにいそいでどこ行くん?」

「分らないわ…でも歩いていたらどこまでもいけるわよ」