「私は、常磐を放って置き過ぎたのかもしれない。」

お父様が、突然言ったので、なんだかよく分からなかった。

「朝日の婚約者を締め出したと聞いておる。」

「締め出してなんか。勝手に出ておいきよ。私が気に入らなかったみたいでしたわ。別に、あんな身分の低い人に好かれるのも、嫌で御座いましてよ。だから、宜しゅう御座いました。」

私は笑って見せた。

「無礼な人ばかりですこと。お姉様だって、私を馬鹿にしていますしね。」

-受領如き娘の腹の、卑しい姫じゃ、ないわ。

「そうか………」