買い物が終ると桜井君はあたしを家まで送ってくれた。


その時には、ちゃんと紳士的な事ができるのだと感心してしまった。


「ありがとう」


送ってくれた桜井君へ向けてあたしはそう言った。


「いや。でもさ、アプリの使いすぎには気をつけろよ」


「そればっかりだね」


「……ごめん」


俯いて頭をかく桜井君を見ていると、少しだけ胸がキュンとした自分がいた。


あの写真くらいカッコよくなれば付き合ってみてもいいかもしれない。


「じゃ、ありがとう」


あたしはそう言って桜井君に背中を向けたのだった。