みんな、智子と視線が合いそうになると咄嗟にそらせている。


こちらをみてコソコソと噂話をしている人もいる。


その様子に智子の頬がまた赤くなった。


こんな屈辱的な気分になったことは、今まで1度だってないんだろう。


「あたしじゃない……。あたしの家にはお金があるんだから!」


「静かにして智子」


「あたしはこんな場所でバイトするような人間じゃない! 本当は違う!!」


今にも暴れ出してしまいそうな智子に、内心大笑いしていた。


「飯田さん、なにしてるの」


吉野さんが智子を止めに入るが、智子はその手を振り払った。