ーー1週間前、新学期。


桜の花が咲き誇り、どこか清々しい気持ちで登校する生徒たちを追い抜かすように校門をくぐった。


裕貴は入学式の準備で一緒に登校できないと言われ、初日から不安だった。

2年生に進級しクラスが変わるとは聞いていたが、それでも仲の良い友達にはすぐに暴かれてしまうのではないか…
口から心臓が飛び出てしまうのではないかと思う程に、胸が痛かった。


私のミッションは、妹の変わりに出席日数を稼ぐことと、妹の心を壊したヒントを学校生活から見つけることだった。


だが、

そんな私に、問題が起きた。
下駄箱が見つからないのだ。
下駄箱には名前のテープが貼られているが、真凛の名前が見当たらない。

下駄箱をうろうろしていては怪しまれるが、探さないことには先に進まないと、心を落ち着かせる。



そんな時、
不意に声が聞こえた。



「また俺の下駄箱にラブレター入れる気?」



突然、腕をとられ、固まった私の目に入った
その人物こそ、


ーー鈴木正義。




妹と入れ代わって、初めて言葉を交わした相手は、白い歯を見せて笑ってくれた。

その笑顔に焦っていた気持ちが、妙に落ち着いたことを覚えている。